読書会
職場の共同研究でよかったな、と思うのは、いままで接する機会のなかった方たちと、面と向かって話す機会が増えたことだ。いろいろな自治体の関係者のみなさんもそうだが、企業関係者とかなり踏み込んだ話をすることも多くなった。
今晩は、これまで僕らのプロジェクトを支えて下さった、とある企業の方々と飲んだ。そこで出てきた話題で、う〜むと思ったのは、最近、この方々が、僕の職場の若手たちと合宿をしたという話である。
その合宿の課題図書はまずアダム・スミス『道徳感情論』である。『国富論』あたりはまあ、ビジネスマンの教養としてわからなくはないが、『道徳感情論』というのは、さすがである。堂目さんの本もしっかりフォローしている。
次はデュルケームという。ふ〜む、そうね、企業もまあ組織だからね、デュルケームから学ぶものもあるのだろうと思っていたら、三冊目が何とロールズ『正義論』という。
いやはや、おそれいる。この厳しい経済状況において、日本企業も苦闘している。当然、いい話はほとんど出てこない。それでも『正義論』を読むことで、必死に考え行動している企業人もいるというわけだ。そういう方たちと議論していくなかで、思想史研究者としての自分の仕事をあらためて考えてしまう。