現象学

 数日前に、「依頼原稿で、、、」うんぬんと書いたのは、実はメルロ=ポンティについての論文である。もちろん、メルロ=ポンティについて、まともに読んだことも書いたこともない僕が、彼の哲学についての論文を書けるはずがない。むしろ、彼の弟子筋にあたり遺稿の編集者であるクロード・ルフォールとの関係で何か書け、というのが依頼の内容であった。ルフォールについてならいろいろ書くことがあるぞ、ということで、依頼を引き受けたのだが、とはいえ、メルロ=ポンティのことをまったく知らないというのもなあ、ということで、誠に泥縄であるが、彼自身の著作と解説本を何冊か読んだ。


 が、読み始めると、なんだかメルロ=ポンティの方がどんどん面白くなってくる。おもに『見えるものと見えないもの』を読んだのだが、タイトルからしていいではないか。


 とりあえず、ルフォールの思考法のかなりの部分がメルロ=ポンティに由来するものであることがわかった。まあ、論文はそれでいいのだが、やはり現象学政治学との関係は、きちんと考え直す必要があるなあ、と思った。これまた泥縄で小野紀明現象学と政治』も読み直したが、むむむ、深いのだ。