病院

 最近、もろもろの事情で病院に行くことが多い。僕は基本的に、医療機関ではたらく方たちに多大なる敬意をもっているのだが(偉いなー、と思うことが多い)、なんだかなあ、と思うことも多い。


 よく言われる話だが、どこに行っても「患者様」である。看板には「患者様へ」、駐車場は「患者様駐車場」。僕の語感では、むしろ馬鹿にされている気がする。「ご来院のみなさまへ」で何がいけないのだろうか。


 お医者さんの説明も丁寧だ。事細かに治療プロセスを説明してくれる。それはいいことなのだが、「こういうリスクがあります」、「こういうリスクもあります」と延々、リスクの話をされ、最後に承諾書を書かされると、なんだかうんざりしてしまう。説明する方もうんざりだろうけど、本来治療の場というのは、患者をメンタルに励ますというのも重要な営みである。ともかく「リスク」、「リスク」言われて、「これ以上は当院ではできませんが、それは当院の責任ではありません」といわれると、鼻白んでしまう。


 ちょっとでも患者に痛みを感じさせるのはサービス機関として問題あると考えているのだろうか、「これは痛いです」、「やっぱり痛いでしょう」といわれると、それだけで何だか痛くなる。「インフォームド・痛い」はやはり「痛い」なあ。


 訴訟が頻発するなか、医療機関の側で防衛的になるのはいたしかたないと思う。でも、防衛のための防衛は、やはりいただけない気がする。