多重債務

 数日前、昼めしどきに、某出版社の編集者お三方とばったり出くわせた。そのうちのお一人が、「例の件、どうぞよろしく」とおっしゃる。なんだったっけと考えてみると、そちらのPR誌に小文を約束をしていたことを思い出した。まだ締め切りが先であることを頭のなかで確認し、「ああ、そうでしたね。こちらこそよろしく」と答える。


 そうすると、もうお一方が、「あ、あちらの件もよろしく」という。そうそう、この方に担当していただいている本の論文の締め入りが、まもなくであることを思い出した。「そうですね、がんばります」と答える。


 そしたら、もうお一人がじいっと僕の顔を見る。「はて、何かありましたっけ?」と間抜けな顔をして、問い返すと、「あれです。どうぞよろしく」という。う〜ん、何だっけと考えること十数秒。げっとそうだ、この方に担当していただいている企画の締め切りがもうすぐだった(締め切りが先のものから思い出したのは、なんかの深層心理の現れだろうか)。動揺しているうちに、しっかり念を押されてしまう。


 う〜、同一出版社で3件の債務。う〜、それも締め切りがほとんど重なっている。う〜むむむ、、、