磯崎新

 平松剛という人の『磯崎新の「都庁」』という本を読む。新都庁のコンペで競った、磯崎新とその師匠である丹下健三の相克を描いたノンフィクションである。

磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ


 この平松という人、前に『光の教会安藤忠雄の現場』という本を読んで、たいへん感心した。建築ノンフィクションとでも呼ぶべきジャンルを開拓しつつある書き手である。

光の教会―安藤忠雄の現場

光の教会―安藤忠雄の現場



 けっこう長い本であるが、二人の人生が、戦後という時代の変質とともに描かれ、読ませる。建築家と政治、東京大学をめぐる議論も興味深い。


 が、なんというか、安藤忠雄についての前作に比べると、今ひとつ、盛り上がりに欠ける。磯崎という人、たしかに、面白いし、戦後の日本建築史において重要な人物であるのはたしかだが、それでは彼の建築が魅力的かと言われると、「う〜ん」である。前につくばセンタービルを見たが、「ポストモダン建築」と言われてもねえ。僕の目には、できそこないの積み木みたいに見えた。


 この本を読んでいると、むしろ敵役の丹下健三の方に精彩があると言えなくもない。業が深い人物だけど、ある意味化け物だし、、、