『オバQ』

 しばらく前に、実家を処理する際、子どもの頃に読んでいた漫画がたくさん出てきた。捨てるのはあまりにおしいので、段ボール箱二つ分ほど、持って帰る。


 これをDaichiに読ませると、喜んで読んでいる。ということで、1冊、また1冊と、時々取り出してきては、与えてみる。


 『ドラえもん』以外にも、藤子不二雄のものはたくさんある。『オバケのQ太郎』などは、今では本屋でもテレビでも見かけないので、骨董的価値があるかも。


 読み直してみると、『オバQ』は『ドラえもん』より、若干想定読者が上に見える。一話あたりが長いし、読んでみるとけっこう時事ネタも扱っている。


 ある回には「バケ連」の話が出てくる。世界中のオバケの総会であり、テーマは平和である。もちろん、子ども向けなのでたわいものない話だが、原水爆の話など、時代の空気が反映されている。アメリカから来たドロンパというオバケがあまりに生意気なので、みんなで怒って「ヤンキー・ゴーホーム」というプラカードを持ってきて行進するなんてのも、今の子が読んだら、なんだかわからないだろう。


 ところで、今度読み直して、印象深かったのが、やはりこのドロンパ。ともかくプライドが高く、素直でない。でも、家主の神成さんに対し、屈折した親愛の情を感じている。あくまで古風な神成さんと、アメリカン・ボーイであるドロンパの交情は、なんだかいい話である。


 素直でなく、生意気だけど、実は悪い奴じゃない。このあたりの微妙な感情をうまく描いている『オバQ』は、やっぱり、若干年上の子ども向けかな、と思う。まあDaichiはストーリーがわかっているんだか、わかっていないんだか定かでないけど、ともかく喜んで読んでいる。