ブッシュとケネディ

 越智道雄という人の『ブッシュ家とケネディ家』という本を読んだが、なかなか面白かった。WASP中のWASPであるブッシュ家と、アイリッシュながらWASPの牙城に切り込んだケネディ家の歴史をたどることで、アメリカ社会の変容を描いた本だ。

ブッシュ家とケネディ家 (朝日選書)

ブッシュ家とケネディ家 (朝日選書)


 まあ、つくづく感心するのは、アメリカのパワー・エリートのあり方で、ブッシュ家とケネディ家も、何代もかけて一人の大統領を生み出した。まさにそれは世代を超えたファミリービジネスであり、逆に言えば、一代ではなかなかその世界に参入するのは難しいということだ。


 そのような家の使命を担った両家族の一人ひとりの肖像の描き方が秀逸である。その弱さ、ゆがみを含め、まさしく人間ドラマである。キューバ危機や湾岸戦争イラク戦争なども、その中枢にいた人々のドラマとして描かれる。


 まあ、著者はJFKびいきで、ブッシュ家にはからいが(まあ、当然だけどね)、そのあたりも含めて、面白かった。