財務省

 高橋洋一という人の『さらば財務省』という本を読んだ。タイトルをみると、なんだかいかにもであるが、中身はそれほどセンセーショナルではない。


 この人、財務省出身だけど、財務省をも敵に回し、小泉・構造改革の理論的中枢部を担ったことで知られている。親・竹中で、郵政民営化論者、ついでに「上げ潮」派。最近は例の「埋蔵金」でも話題になった。まあ、政治的にいえば、僕が好きになれるタイプではまったくない。それでも、この本のうち、イデオロギー的に論敵をくさしている部分はともかく、自伝的部分や、官僚批判、財政諮問会議の裏舞台などは、読んでいてなかなかおもしろかった。


 元々数学屋さんで、ある意味経済学的なロジックだけで、議論をとことん進める。けんかっぱやいが、人柄はいたって正直で、裏表はない。なんだか、僕の身の回りにもいそうなタイプだ。


 彼の議論の経済学的評価は、僕の守備範囲外。でも、こういう奇人を使いこなした小泉って、やはりすごいなと思わざるをえない。