お祝い

 昔からの友人たちに、受賞のお祝いをしてもらう。受賞もだいぶ前のことなので、ちょっとてれくさいが、なつかしい仲間たちに祝ってもらい、あらためてうれしさを感じる。


 この友人たちには、研究者は一人もいない。大学の同窓でもない。でも、学生時代から僕のことを知っていてくれる人たちだ。この人たちこそ、僕にとってのframe of referenceである。


 研究者になりたての頃から、彼ら・彼女らに読んでもらえる本を書きたいと思ってきた。研究者ではないが、知的な関心にみち、それぞれの仕事できたえられた眼を持っている彼ら・彼女らにこそ、評価してもらえるような仕事をしたいと思ってきた。


 いまだその道のりは遠いが、何とかがんばっていきたい。でも、同業者以外に、この人たちに読んでもらいたいと思える読者像があることは幸せだと思う。