地域医療

 権丈善一『医療政策は選挙で変える』を読む。権丈さんとは昨年お会いしたが、年金問題の専門家であり、たいへんに歯切れの良い、元気な人である。エネルギーの固まりのような人柄に、強い印象を受けた。


 それにつけても、現代日本における医療の現場の荒廃は深刻なようだ。地域社会における医師不足の一方で、医学部の人気と偏差値はあがる一方というちぐはぐな現実もある。


 帰り道では、南木佳士『信州に上医あり』を読む。信州佐久地方の地域医療に尽くした若月俊一の伝記。自ら医師であり、佐久病院につとめた南木の視点から、若月の持つ複雑な人間的魅力を探る本。


 それにしても、あまりに対照的な二冊の本。単に地域医療の問題だけでなく、日本社会自体の大きな変質について考えざるをえなかった。