松田聖子と中森明菜の時代

 帰り道、『松田聖子中森明菜』という新書を読んで帰る。とくに深い内容でもないが、その時代を知る人間にはともかく懐かしい。二人のデビューまでの経緯や人となりを、山口百恵との比較や歌謡界業界の変質も念頭に入れて分析し、ベストテンなどの順位の変化をたどりながら、80年代半ばの時代の空気の変化を再現していく。


 松本隆ユーミンらが松田聖子と組んでもたらした、ある種の感性の変革。まあ、すでにいろいろ論じられている点ではあるが、あれって、結局何だったのだろうか。


 著者は僕らより上の世代。いきなりサルトルを持ち出すあたりは苦笑ものだが、「松田聖子中森明菜の時代」に対する、つかずはなれずな微妙な距離感がこの本の特色かもしれない。