日本の古代研究

 最近、各出版社とも、講座ものを積極的に刊行している。岩波の憲法講座はたいへん評判がいいし、中央公論社の哲学の歴史も、がんばって出し続けているなあ、という感じである。ちなみに、この中公の企画では、僕も少し文章を書いている。今後、岩波の哲学講座も続くようだが、僕はそこにも一文を寄稿している。


 で、小学館の新しい、日本の歴史のシリーズである。最初の一冊を読んだが(『列島創世記』)、けっこう面白い。最近、「心」の進化についての研究がさかんだが、この本も考古学的な史料から、有史以前の人類の「心」の有り様を解き明かしていく。比較的若い人のようだけど、元気がよくて、読ませる本だ。


 梅原猛の縄文文化論や、中尾佐助らの照葉樹林文化論などを、こ気味いいくらい、ばっさりと切り捨てているのもいい。


 知らない間に、日本の古代研究はすっかり様変わりしているようだ。