政治本

 僕は「政治オタク」と呼ばれることがままあるが、われながら、よくこんな本まで読むよなあ、ということがある。ここのところでいうと、森田実の『自民党の終焉』(角川)は、さすがにひどいと思った。民主党の応援をするにしたって、これじゃあ、応援にもなっていない。それに比べ平野貞夫『虚像に囚われた政治家小沢一郎の真実』(講談社)はけっこう面白かった。日本史は東日本と西日本の対立で読み解ける、とか不思議な政治文化論を展開しているが、田中角栄論など、まあ、それはそれで読み応えがあった。あと、この人、小沢の側近だけど、やたら口が悪くて、しょっちゅう失言するし、小沢ともけんかしているのがおかしい。


 昔買ってあったのを取り出して読んだのが、服部之総『明治の政治家たち』(岩波)。原敬を「いかなる政治家より偉大」と考える著者が、原につらなる政治家の群像を描いた評伝。この人、はじめて読んだけど、マルクスの『ブリュメール』をしょっちゅう引用するなど、今読んでみてもなかなか面白い文体で歴史を論じている。掘り出し物。


 ついでに岡義武『近代日本の政治家』(岩波)。同じく評伝スタイルの政治史。読み物として、やはり良くできている。


 こういう本を読むって、やはり逃避だよなあ。もっと現実を直視しよう。