四半世紀

 しかし、僕はなぜドラゴンズのファンになったのか。思いおこせば、僕が小学生の頃、少なくとも東京郊外に住む僕の周辺では、子どもたちにとってスポーツと言えば野球しかなかったし、野球といえばジャイアンツしかなかった。王貞治がホームラン756号を打ったときのことは、今でもよく覚えている(子ども雑誌の付録にソノラマシートがついていていた)。まあ、この時期まで「国民的関心」なるものが、まだ存在するように思えたのである。


 僕が小学校の高学年になった頃、西武ライオンズが誕生した。レオのマークやユニホームがとてもかっこうよく見えた。スタジアムも緑にあふれ素敵だった(今は見る影もないけど)。やがてライオンズは日本シリーズジャイアンツを圧倒するに至り、ようやくジャイアンツ一極集中の時代が終わりをつげた。と同時に「翼」によってサッカー人気に火がついた。価値観の多元化が進んだのだ。


 そんな時代にあって、ジャイアンツに挑む「野党」的チームとして、少なくとも僕には輝いて見えたのがドラゴンズであった。江川・西本・定岡・原・中畑・篠塚を擁して最強だったジャイアンツを破ってセリーグ優勝を決めた82年にすっかり心奪われ、今日に至っている。ちなみにそのとき以来、ドラゴンズは6度日本シリーズに出て、いまだ一度も日本一になっていない。その未達成感が今日までファンであり続けた理由かもしれない。


 当時「野党」的ドラゴンズのイメージを代表したのが星野仙一である。今でも僕の彼への思いはちょっと微妙である。


 そのドラゴンズもいまや、それなりに資金力のある、つねに優勝を争う「有力チーム」になってしまった。僕の「野党」性も、しょせん、その程度だったのかも、、、


 まあ、理由なんてどうでもいいのだ。あるとき、なぜか好きになってしまったのだ、、、それから四半世紀、一度くらい日本一になってほしいなあ。