車中の読書

 昨日は京都泊。今朝は8時過ぎには新幹線に乗り、東京にもどって大学の研究室に直行。三連休初日であり、家族には申し訳ないと思いつつ、研究室にこもって、論文を書き続ける。おかげで、だいたいできあがった。やれやれ、ようやく次に行ける。


 帰りの新幹線で読んだのは、共同通信社社会部編『沈黙のファイル:「瀬島龍三」とは何だったのか』(新潮文庫)。迫力のある本だ。

沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫

沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫


 瀬島龍三が死んで以後、彼についての本を何冊か読んだ。この本も読もうと思ったのだが、なかなか手に入らなかった。ようやく増刷した模様で、京都駅のキヨスクで積んであった。


 戦後賠償をめぐる政商の暗躍、日本軍の「南進」、731部隊、と読めば読むほど、ずしりと来る。実をいうと、この本、瀬島自身については、あまり書いていない。むしろ彼の周辺を探ることで、何かを浮かび上がらせようとしている。この本において、瀬島は、ある意味、象徴的な人物である。そして、彼が象徴するものこそ、暗澹たる日本の現代史なのである。