進歩ねえ

 京都に来る。一年ぶりである。ここに来るたびに思うのだけど、せっかく来たのだからゆっくりお寺でも見て回りたいと思うのだが、どうもその精神的余裕がない。今日もぎりぎりに来て、明日すぐ帰る。なんだかもったいないが、しかたがない。



 今日の研究会のテーマは「進歩」。昔は「進歩」なんて信じる方がどうかしてると思っていたが、今となると、未来に向けて、それだけポシティブでいられた、その精神構造に興味がわく。「進歩」といえば、コンドルセ。今日は、コンドルセからトクヴィルにいたるフランスの「進歩」思想について、徹底的に論じる。



 「進歩」というのは、無限に発展する未来を信じられるということである。今となっては、なんだかノー天気な思想に見えるが、それなりに歴史的背景はあるのだ。「進歩」の思想なき今日、はたして人間の希望はいかなる形態をとるのか。



 まあ、それにしてもいつ来ても京都は濃いなあ。この濃さをいつまでも保って欲しい。