トクヴィルは理論家か

 教養課程のプログラムに全学自主ゼミナールというのがあり、そこでトクヴィルを取り上げて演習をするので、ということで呼ばれた。聞くところによると『アメリカのデモクラシー』第一巻をすでに全員で読み、僕の本も課題図書にしてくれているという。これは行かねばなるまい。


 行ってみると参加者は15人程度か。各自A4一枚、本を読んでレポートを提出している。なかなか気合いが入っているのだ。以下、結構容赦ない質問があいつぐが、「トクヴィルは何を言わんとしているのかわからない」、「用語の使い方が不正確だ」、「理論家とは呼べない」など、トクヴィルが聞いたら憤慨しそうな意見も飛び出す。思わずトクヴィルの擁護者になって、一席論じてしまった。


 やっぱり、なんというか、もっとかっちりした議論を展開する人のことを理論家と思っているんだろーなー、と思う。「でも、自己完結的な理論家ばかりでなく、ある意味open endな理論っていうのも、ありうるよ」なんて言っといたが、納得してもらえたのやら。まあ、読者の意見を聞くという意味では、なかなか良い機会だった。