あぜ道

 気持ちの良い天気。近所のZふるさと村というところに出かける。ここは、東京と神奈川の県境にある丘陵地帯で、田んぼや谷地が保存されている。田んぼにそったあぜ道を歩いていき、ひょっと脇道にそれると、あっというまにうっそうとした森になる。そこに入り込んでしまうと、あたり一帯が住宅地であるとは、まったく想像できない。不思議な雰囲気だ。


 尾根道をてくてくと歩き、帰りはあぜ道沿いの用水路を歩く。はだしで歩くと、脳みそにぴーんとくるほど水が冷たい。でもDaichiは喜んでじゃぶじゃぶ歩いていく。田んぼをのぞくと、オタマジャクシなど小さな虫でいっぱいだ。いいなあ、こういう雰囲気。僕は東京郊外の農村部で育った。小学校まで歩いて一時間、寄り道ばかりしていたから、帰り道など二時間近くかかった。近所の川でかえるの卵をすくって帰り、家の庭のバケツにいれておいたら、オタマジャクシになり、足が出て、手が出て、みんなどこかに飛び出していった。


 なんとなく、その頃のことを思い出す。子どもの頃の僕のかよったその道は、今はロードサイド量販店がずらりと並んでいる、、、


 (おお、ちょっと感傷的な文章だ)