参議院

参議院なんかいらない (幻冬舎新書)
 『参議院なんかいらない』という本をぱらぱら読む。奇書である。なにしろ、いちどは「天皇」と呼ばれた参院自民党の親分と、民主党の小沢代表の「知恵袋」と、共産党の元「No.4」が一緒に本を出したというのであるから。


 それも意外なことに、三人ともそれぞれ自分の味を出しつつ、不思議に息があっている。はっきりいって、ポストから追われ、かつて所属した政党に戻ろうとしても歓迎されない三人であり、その分、しがらみがなく、好きなことを言えるということだろう。


 三人共通の意見は、タイトルとは裏腹に、なんとか参議院の独自の存在意義を回復したいという切なる思いである。首相選出にかかわらなくていい。大臣も出さなくていい。むしろそういう短期的利害とは離れたところに参議院の長期的視点の基盤を確立しようというのが、彼らの主張である。参議院は、予算案審議よりもむしろ決算のチェックに集中すべきであるという意見も、一考の価値あり、である。二院制の意義を再考するにあたって、一石を投じた本であると思う。