『フューチャリスト宣言』
梅田望夫・茂木健一郎『フューチャリスト宣言』(ちくま新書)を読む。
梅田の『ウェブ進化論』では「ロングテール」の話などを面白く読んだが、この人の日本の現状に対するいらつき加減が、ある意味印象的だった。今度の本でもその特徴は強く出ている。彼に言わせれば、日本の「リアル」の世界は「談合」で決まる閉じられた世界である。これに対し、ウェブ上の世界とは、「リアル」の世界に不満を抱く人間が、そのような既成の「リアル」世界に対抗して可能性を模索するための場である。この点に関しては、茂木も同意見なのだが、印象からすると、茂木の怒り方が陽性であるのに対し、梅田の方が根にこもっている感じである。かなりうっくつした思いがあるようだ。まあ、わからないではないが。
「リアル」世界しか知らない世代に代わり、ウェブ世界と「リアル」世界の両方を知る世代が40代を迎える2015年あたりに、日本社会にも大きな変革が起きると梅田は予言する。ある意味、彼自身、そういう革命を待望しているようだ。
対するに、茂木の言葉で印象的なのは、人生における成長は偶有性に対してどれだけ開かれているかによって決まるというもの。その意味でいうと、ひょんなことから、あやしげな研究プロジェクトにはまっている僕あたり、けっこう偶有性に開かれた生き方をしていると思うけど、だめかしらん。