待って、遅れて、つまずいて

 職場の共同研究で報告を行う。「希望」の問題を考える上で役立ちそうな本が最近になって三冊出たので、それをまとめて論じてみた。一つは鷲田清一の『<待つ>ということ』、もう一つが春日直樹『<遅れ>の思考』、そして最後の一冊が山内志朗『<つまずき>のなかの哲学』である。どれもなかなかに面白い本であるが、驚くほど議論が重なっている。三冊とも時間論であり、「私」論であり、希望論である。研究会自体もなかなか活発なものであった。


 しかし、この三冊を取り上げるにあたって、報告のタイトルをどうするか、考えた。思いついたのが、「<待っ>て、<遅れ>て、<つまず>いて」。我ながら、これは良いタイトルだと思った。


 が、その後、職場の建物の前に立て看板が出て、そこに「<待っ>て、<遅れ>て、<つまず>いて」とあったのは、ちょっと恥ずかしかった。この間、僕の研究室に来る人来る人に、「あれ、何ですか?」と聞かれてしまった。う〜む、これを見た人は、いったい何の研究会だと思っただろうか。