『グレート・ギャツビー』

 村上春樹の新訳の出た『グレート・ギャツビー』を行き帰りの電車で読む。前に違う人の訳で読んだときは、「けっ、やることもないアメリカの高等遊民の、まったく無意味な会話ばっかりだらだら続けやがって」と、あっさり途中でギブアップしてしまった。が、今回村上訳で読んでみて、やはりアメリカ高等遊民の無意味な会話とは思いつつ、その徹底した無意味さの背景にある自意識の悲痛さが、無駄のない引きしまったスタイルで描き出されているのに強い印象を得た。今回は最後まで読めるかも。


 それにしても、村上の訳者あと書きは、彼のフィッツジェラルドへの深い思いがうかがえて、読ませるなあ。