トトロ

 Daichiの『となりのトトロ』への傾倒ぶりは見ていて、驚くばかりである。いや、思わず「傾倒」なとという言葉を使ってしまったが、要するに、『トトロ』のビデオを繰り返し繰り返し、飽きずもせずにみているのだ。


 どこかで読んだのだが、宮崎駿は「うちの子は『トトロ』が好きで、いつもすっと見ているんですよ」と言われるといやな気分になるという。子供がビデオにかじりついているのは、いいことではない。ビデオでアニメを見ているくらいなら、外に遊びに行く方がずっといい、というわけだ。もっともな話であるし、そこにアニメ製作者としての宮崎のジレンマもあるわけだろう。


 それにしても、よくあきないものだ。あまりに何度も見たおかげで、一つひとつのシーンのディテールまでしっかりと記憶してしまっている。それをこちらにさかんに話しかけてくる。良いんだか悪いんだかわからないけど、ついついこちらも何度も見てしまう。


 それにしても良くできたアニメである。風景の一つひとつがいい。シーンの一つひとつに、子供の心をくすぐる話が込められている。大人がみても十分に楽しめるようにできている。宮崎アニメの最高傑作であり、それと比べると最近の作品は、「???」である。


 現代の子供は、宮崎アニメを通じて「自然」に出会うのであろう。変な話だが、しょうがない。見ている親自身が、そうなのだから。