古典

 古典のテキストを読む演習は久しぶりだが(ここのところ、研究書を読む演習が多かった)、やはり古典ならではの醍醐味がある。文章は古くさいし、内容もちょっと読んだだけではぴんと来ない。でも、いろいろ歴史的・理論的な補助線を引いて、ああでもないこうでもないと考えているうちに、ふと、その立体的な構造が浮かび上がってくるように感じる瞬間がある。時間と場所を越えて、著者の思考のダイナミズムに直接触れたような気がする瞬間だ。そんなとき、けっこう興奮してむきになってしゃべるのだが、はたして参加者にどれだけ伝わっているのだろうか、今ひとつ自信がない。僕はへなちょこな読み手でしかないのだが、それでも古典を読むことのある種の高揚感のようなものを、参加してくれている人たちが実感してくれるといいなあと思う。自分はそういう教育を受けてきたし、そういう教育しかできないと思う。