日本とフランス

 薬師院仁志『日本とフランス 二つの民主主義:不平等か、不自由か』(光文社新書)を読む。最初新聞の広告でこのタイトルをみたとき、「あれまー」と思った。僕らが去年やったシンポジウムのタイトルもそんなやつだったと思う(正確に覚えていない)。あ、あれは、アメリカとフランスか。それにしても、いかにも自分たちが思いつきそうなタイトルだ。やられた。



 筆者の言わんとするところは、実はシンプルだ。アメリカ=自由主義、フランス=平等主義とした上で、フランス・モデルが日本人には本当のところ、ピンと来ていないのではないか、ということを、なかなか巧みに説明している。いったいぜんたい、今の日本には社会民主主義が現実的な選択肢として存在しないのは問題ではないか、という指摘も、いたってまっとうである。


 「右派=自由主義、小さな政府/左派=平等、大きな政府」と割り切るところなど、う〜んと思わざるをえないが、まあ、ともかく議論がすっきりしているのがこの本のいいところだろう。僕には、なかなか、こうもすっきりとは言い切れない。


 日本の政治の対立図式を、他国との比較で、すっきりと説明できたらいいな、とは思うが、どんなものだろう、、、