聞き取り調査

 釜石から帰る。あわただしい日々だった。


 今日は市の昔の助役さんから話を聞く。背筋がぴんと伸び、品のいい方であった。かつては非常に厳しい上司として市役所内にぴんとはりつめた空気を生み出したと聞いているが、今はだいぶ穏やかである。


 淡々と今の仕事を説明されていたが、かつて若い頃、まだ係長・課長だった時代の話になると次第に熱が入ってくる。エピソードも多く、聞いていて飽きない。しばらく前に後藤田正春のオーラルヒストリー本を読んだが、なんとなく雰囲気が似ている。


 正直なところ、人から話を聞くのは得意ではない。どうも僕は話を聞いていると、相手の人の気分に強く影響されてしまう。その人の持っている様々な思いが、聞いているうちに自分に乗り移ってきてしまうのだ。それが心を重くする。


 が、今日はそういうことはなかった。一緒に聞き取りを行ったGさんの話のもって行き方がたくみだったせいもある。しかし、やはりお話して下さった方の人柄が大きいのだろう。聞き取り調査の素人として、少しこの世界のおもしろさを感じた。