釜石

 東北新幹線3時間、釜石線2時間をかけて岩手県釜石市に到着した。天気はあいにく曇天。思いがけず肌寒い。しまった、長袖で来るんだったと後悔する。


 総勢10人以上の集団である。こういう調査になれていない僕にはなんどなく楽しいが、サークル旅行にしては年齢がばらけているし、社員旅行にしては、なんとも気勢があがらない。変な集団だ。


 初日は郷土資料館、翌日は市立図書館で調査を行う。とりあえずはどんな資料があるのかのチェックだが、人にもかなり会う。これまで本を通じての研究ばかりをしてきた僕には新鮮な経験だ。


 しかし、やはり人に会い、話を聞くというのは難しい仕事であると痛感した。人は誰も、いきなりやってきて、なんだかわからない目的で勝手に調査を行い、そして去っていく人に口を開こうとはしない。調査を受ける人は、<自分は利用されているだけではないか>という疑念を当然のことながら抱く。それを痛感するばかりの一日であった。


 とりあえずは、「僕たちを信用して下さい」というしか手がない。しかし、そのように言った以上、それなりの責任はとらないといけない。はたして責任をとれるのか、考え出すと不安になるばかりである。


 それでも、やはり人と会って話すことで学ぶことは大きい。貴重な経験だったと思う。