人間ドック

 A-sanと半日人間ドックに行く。仕事を辞めて以来、きちんとした健康診断を受けていないと彼女が言うので、それならば一緒に行ってみようということになった。


 僕は人間ドックははじめて。なんでもはじめてのことは面白い。大学の健康診断で、上半身裸の男たちが、ぞろぞろ列をなして検査を受けて回る姿は、お世辞にも優雅とは言えない。どちらかといえば、寒々しい風景である。人間ドックも基本的には同じなのだが、みんな検査着を着ており上半身裸の人はいないし、人数も少ないのでゆとりがある。まあ、それだけでも、ましかもしれない。


 検査項目は大学の健康診断よりやや多いという程度。でも、まあシステマティックに次々と検査を受けていくのは、なんとなく快感ではある。良いも悪いも含めて、自分の体のあちこちがすべてデータ化されると、すっきりするのである。まあ、このデータを元に、今後は少しきちんと自分の体のことも考えていこうと思う(どうせ、すぐに忘れるだろうけど)。


 病院は職場の紹介によるもので九段下にある。検査の終わった後、何となく千鳥ヶ淵沿いに半蔵門まで歩く。ふだんあまり足を踏み入れない地域なのできょろきょろする。薄曇りの空の下、しばしの東京散歩であった。