『ゲド戦記』第四巻

 『ゲド戦記』第四巻を読む。う〜む、フェミニズム色が強くなるとは聞いてはいたが、たしかに第三巻までとは、まったく違う話になっている。何十年というインターバルを置いて書かれたこの作品、もはやファンタジーではなく、完全にジェンダーの問題を扱う小説になっている。魔法の力を失ったゲドは、この小説では、女性の目から、自信を失った、自分に閉じこもった男性として描かれる。「男」と「女」という図式が過剰に強調されている気がしないでもないが、著者自身、これまでの自分の世界観そのもの(男中心のものとして描いてきた魔法使いの世界)を再検討しようとする意図がうかがえる。


 途中まで読んだだけだが、いったいどういう結論になるのか。ここまでのところ、ゲドはまったくいいところがない。ただ、ゲドの活躍を期待する人にはがっかりの小説だろうが、中年の男女を描いた人間劇として読むと、なかなか読ませる。