フランス学生たちの運動

 フランスが再度大もめらしい。今度の主役は学生で、ドヴィルパン首相によるCPEという法に反対する運動が大規模に展開されているという。


 この法、進まぬ若者の雇用の促進を目的に作られたもので、26歳以下の人を雇う場合、雇用後2年間を研修期間とし、その間は企業側による解雇を自由にするものである。若者の雇用に腰の重い企業側にインセンティブを与えることを期待してのものだろう。が、学生側はこれに反対し、労働組合などもこれに連帯する動きを見せている。


 日本の新聞の論調はというと、どうもあまり学生側に好意的ではない。「せっかく若者の雇用を目指した法なのに、反対しなくても」とか、「特権的な学生さんのやることだから」という雰囲気の書きっぷりである。ちなみにこの前暴動が起きた郊外の移民系地区では、これに連動する動きはないということも、学生たちとの対比で書かれている。


 だが、一定年齢の人間だけを企業の理屈で自由に解雇できるようにするというのは、やはり法の下の平等に反しているような気がするけどなあ。また、若者に言わせれば、失業が深刻な中、より高年齢の人たちが組合や法によって守られているのに対し、若者がその負担をもっぱら担わさせられているところに、その負担を世代間で共有するどころか、むしろさらに若者の権利を奪うことで問題の解決をはかろうとするというのは、それはないだろうという話にも思える。いつでも解雇される、っていうのは、やはり権利剥奪じゃないかしらん。


 どうも「君らの権利を奪っているようだけど、実はこれは君たちにとって悪い話ではないのだよ」っていう、今回の法律の趣旨自体、筋が悪いと思うんだけどなあ。そういうのって、だいたい眉唾だっていうのが、人類の歴史の知恵じゃなかったっけ。