現代の情報生活

 今晩の「クローズアップ現代」(NHK)では、最近流行のフリーペーパーが取り上げられていた。リクルートR25など、駅などでただで置いてあるが、なかなかの人気だという。ただだから、という声もありそうだが、いまどき情報は溢れており、ただでもいらない情報はいらないというのが、一般的な感覚である。そこには、かなり綿密な読者の絞り込みと戦略があるようである。


 おもしろいと思ったのは、想定される読者(若いサラリーマン)の一日である。朝起きて10分で家を出て、満員電車で職場に向かい、職場についてまずやることはメールのチェックと、おもなニュース項目の確認。以後、職場でのほとんどの時間、コンピュータに向かい続け、仕事が終わると、上司や同僚と飲みにいったりはせず、家に直行で帰る。その後、テレビをつけたまま1〜2時間、インターネットに接続し、午前1時頃に寝る、という具合であった。


 となると、まあ、平日に本を読む時間は無さそうである。電車の中での読書も難しいし、家ではほとんどネットから情報を得ている。そういう人に読ませる雑誌にするには、どうするか、というわけである。一つの文章は800字以上あってはいけない、彼らの社会的知識へのコンプレックスに着目し、時事ネタをわかりやすく、などなど、いろんな話が出ていた。


 ともかく、たしかに今のご時世で、本を読んでもらうということがいかに困難なことであるのか、よくわかった。現在、本離れがよく言われるが、やはり生活環境の変化が大きいのだろう。情報や知的関心への飢えはあるし、ネット上では大量の字を読んでいる。ただ、その関心が本には向かいにくいというだけだ。


 それでも、細切れでなく、まとまった知識にはやはり、それ自体魅力があるものであり、それには編集が重要、というのが番組の結論であった。もっともな結論ではあるが、なかなか難しそうだ。