ポーコック

 必要があって、邦訳のポーコック『マキアヴェリアン・モーメント』を読む。

マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統

マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統


 あらためて言うまでもないことだが、この大部な難物を訳された訳者の方々のご努力には頭が下がる。いや、たいしたものである。日本の翻訳文化もここまで来たか、と思わざるをえない。


 とはいえ、邦訳で読んでも、やはりこの本は難物である。


 今日読んだのは、最初の3章分。世俗の社会や、そこでの時間の流れの意味について認めない中世キリスト教ヨーロッパにおいて、政治社会や世俗的歴史の意味を評価するために、いかなる理論的武器が用いられたか。読みこなすのは大変だが、スリリングな議論である。


 昔読んだときは、この部分に一番興奮した。いま読み直してみると、かなり荒っぽい議論という気もするが、それでもやはり魅力を感じる。