ヘーゲルはおもしろい

 今日は演習終了後、某新聞の原稿を書く。ほんとうは昨日締め切りだったけど。


 それにつけても、ヘーゲルである。『歴史哲学』を読んできたが、なんとか最後までということで、今日も補講をした。最後までつきあってくれたゼミ参加者には感謝感謝である。


 ヘーゲルの議論、近代になるにつれて無理が多くなる。ヘーゲルによれば、近代の原理を確立したのは、ルターのプロテスタンティズムである。これに比べ、カトリックのフランスは、啓蒙思想カトリック教会と対立し、理性と宗教が最終的に和解することなく対立を続ける。だとすれば、およそ、近代国家の建設はうまくいかなそうであるが、ヘーゲルの嫌った封建制を打破して中央集権国家を確立したのはフランスであった。イギリスは、ヘーゲルによれば、封建制がもっとも残存した国であるが、自由な政治体制を確立したことは認めざるをえない。そもそも、肝心のドイツの領邦体制は近代国家からほど遠い。この矛盾した話をなんとか整合性をつけようと、ヘーゲルはおおいにがんばる。


 僕はこの手の無理をする人が嫌いではない。支離滅裂になってしまってはさすがに駄目だが、いろいろな事象をなんとか整合的に説明しようと、理論的に大風呂敷を広げるタイプには点があまい。こういうタイプは、最終的に議論が破綻するとしても、そこから新しいロジックを生み出し、次のステップへとつながることがあるからだ。


 この半年、ヘーゲル劇場をたっぷり楽しませてもらった。