計算違い

 とある本の書評記事を依頼された。4500字ということで、「400字詰め原稿用紙11枚ちょいね」ということで書き始めた。


 が、いくら書いても書いても、なかなか規定の枚数にたどりつかない。「いやあ、4500字って、けっこうあるなあ」とためいきをつきつつ、すでに締め切りが過ぎていることもあり、ともかくあせりながら書き進めた。


 ようやく9枚目を書いたところで、ふと気づいた。考えてみると、僕は一頁あたり、一行40字×30行ということでワープロを設定してある。ということは、これは一頁あたり1200字、つまり400字なら3枚分である。ぎゃあ。この規格で9枚書いたということは、400字詰めで言えば、すでに30枚近く書いている!


 げげげ。しかし、だからといって単に三分の一に縮小すれば、いいってものではない。泣き泣き、ばっさばっさ文章を切り、引用はすべて落とし、なんとか4500字の原稿にまとめなおした。


 もういやだ、最後は何が何だか、わからなくなってしまった。2倍疲れた。いや3倍か。