旧世代

 この「はてな」の取締役の梅田望夫という人の『ウェブ進化論』(ちくま新書)を読む。単にテクノロジーとしてのウェブではなく、「知の世界の秩序」再編としてのウェブの新時代を、わかりやすく、しかも刺激的に書いている。


 が、この本が刺激的なのは、それだけが理由ではない。非常に意識的に世代論として議論を展開している点が、この本をさらに刺激的にしている。極論すれば、1960年生まれのこの著者が期待をかけるのは、70年代以降の生まれの若い世代だけである。それ以上の世代は、よくて「支援者・メンター・協力者」になれるぐらいで、悪ければ、単なる無理解者でしかない。著者はGoogleに代表される、新しいウェブ世界の知の革新をそれくらい重視している。


 う〜む、そこまで言われると、ぐらりとくるな。男である著者が「女性にしか期待しない」とか、年寄りの著者が「若者にしか期待しない」という言い方には、ある種の臭みがあることも事実だが、それはともかくとしても、知の伝統的な権威の構造が見る影も無く崩壊しつつあるというのは、自分自身日々実感していることである。旧世代としての自分のあり方について、もう少し考えてみたい。