日本における交際文化

 昨日あげた本のうち、池上さんの本について。この本は、連歌茶の湯などをはじめ、日本の伝統的な交際文化の歴史をたどった本である。ただそれだけなら、もちろん珍しくない。この本は、このような問題をあくまで政治的に、すなわち具体的な政治・社会組織のあり方、とくに日本における水平的な結社の歴史と関連させて論じている点である。ある意味で網野善彦の『無縁・公界・楽』の議論の延長線上にある本だ。


 著者はアメリカで活躍する社会学者。いかにもアメリカの研究書らしく、分厚くて、仮説、理論的位置づけ、それに基づく歴史の再解釈が、重厚に展開されている。まあ、これだけ大掛かりな話、日本の文学研究や社会学の研究では、なかなかやれないだろうな、という気がする。アメリカにいるからこそできる力技。