走るのは楽しい

すっかり、こちらの更新を怠ってしまった。ほとんど毎日同じような生活の繰り返しで、とくに書くことがないなあ、というのが理由。でもまあ、少しでも書いてみよう。こちらで熱心にやっていることの一つは走ること。こちらに来た当時は、ベルリン中心部にある動物園付近まで走ることが多かったが、最近はもっぱらVolksparkという公園が気に入っている。文字どおりに訳すと「国民公園」か?広くて雰囲気がいい。f:id:Shigeki:20180515080646j:plain走っていたら、突然こんな建物が見えて来る。古代の遺跡かしらんと思っていたら、地下鉄の駅であった。なかなか景観と合っていて、いい感じ。

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気分良く、どこまでも走っていける気がする。こういう公園が多いのがベルリンのいいところ。大都会だけれど、緑がとても多い。

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で、アパートに到着。公園を1周してアパートまで戻るとちょうど1時間くらい。ベルリン生活の楽しみである。

 

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ベルリンの壁

ベルリンに来て、はや半月。ようやくベルリンの壁を見に行った。と言っても、まだ壁が残っているのは、ほんの数カ所だけ。まずはベルナウアー通りへ。

f:id:Shigeki:20180428172405j:plain天気が良い。芝生の上では若者たちがやぐらを作って、壁越えに挑戦している。確かに、頑張れば越えることができそうだ。この壁が人と人、国と国を絶望的に隔てていた時代のことを想像するのは難しい。

f:id:Shigeki:20180429173230j:plain今日はポイント・チャーリーへ。かつての検問所も、今はすっかり観光地に。周りには博物館のほか、便乗商法で、いろいろな施設ができている。やはり、この場所が、生死を分けた場所であることを想像するのは難しい。

f:id:Shigeki:20180429181046j:plainこの写真は1980年頃のもの。東と西のベルリンを隔てる距離は長かった。その間を通過する人間には、それ以上に長く感じられただろう。これがほんのちょっと前のことなのだ。様々な分断の歴史が同時代のものであることを忘れてはならない。

講義雑感

ついでに勢いに乗って、もう一本。講義についてだ。

 

 

正直なところ、英語で講義をするのも楽ではない。これまでも単発でなら何回かやったことはある。が、週3回を14週やるというのは初めてだ。我ながら「大丈夫かねえ」と思いながらドイツまでやってきた。

 

 

その不安は今も消えない。今日を振り返っても、途中から、かなりメタメタな英語になってしまった。文法が崩れ、正直なところ、ひどい英語を喋っていたと思う。それでも、学生さんたちは一生懸命、こちらの話を聞いてくれる。彼ら彼女らに感謝するしかない。ひょっとしたら、ドイツの学生さんはかなり忍耐強いのかもしれない。

 

 

前にも書いたように、読み上げ原稿は準備できていない。毎回、自分でも改めて勉強し直さないといけない文献リストを学生さんに提示している。それをちゃんと読み直して、パワーポイント資料を作り上げると時間切れである。まあ、幸か不幸か、それがいいのかもしれない。パワーポイント資料を使いつつ、ほとんどはアドリブで話をする。完全に会話調である。実際、学生さんも途中で色々意見を言ってくれるので、その限りでは「双方向的」である。

 

 

もちろん、もっとちゃんとした英語を話したい。美しくて、文法的にもきちんとした英語を話したい。が、今の僕には無理だ(永遠に無理かもしれない)。かなりしっちゃかめっちゃかな英語を話すしかない。が、にもかかわらず、内容はよく理解してもらっていると思う。身振り手振り、やりとりしながら、大切な部分はしっかり理解してもらっているという自信はある。かろうじてではあれ、ある。

 

 

今日の最後は日本語の資料を読む演習である(彼らは一生懸命、日本語文献を読む。喋る方は難しいけれど、読む方はかなり頑張る学生さんもいる)。僕は自分の編集した岩波の『戦後日本の思想水脈』の「民主主義と市民社会」の巻を教材に指定した(http://amzn.asia/f3CpQIK)。石橋湛山河上徹太郎、読みにくいと思う。でも今日は河上の「配給された自由」をめぐって、学生さんたちはとても興味深い議論を展開してくれた。

 

 

「自由が与えられたものであれ何であれ、今自分が本当に自由であると思えるなら、それでいい。実際、僕は日本研究を専攻したけど、親はそんなの期待していなかった。それでも、僕は自分でそれを選んだ。だから自分は自由だ」と一生懸命話してくれる学生さんがいた。ナイーブな議論だと思うけど、とても愛おしく思った。可愛い学生さんだ。

 

 

どの講義も演習も、一生懸命反応してくれる学生さんがいる。そういう学生さんが可愛いのは、世界どこでも同じだと思った。

step by step

木曜日の夕方、すべての講義と演習が終わった後が、一週間でいちばん幸せな気分になれる時間帯である。今週もおかげで楽しく講義と演習を終えられた。少しホッとしたところで、こちらでの環境への順応ぶりについて、少し触れておきたい(大学篇)。

 

 

正直なところ、海外にいればわからないことだらけである。ほんの些細なことでも、なかなか当たり前にはできない。毎日一つでも手続きが進み、一つでもできることが増えれば良しとしなければならない。まあ、わかっているんだけど、思うようにはならない。

 

 

大学で与えられたパソコンがまず、うまく使えない。もちろんすべてドイツ語なので、どこかでつまづいても、どこに問題があるのか、なかなかわからない。悪戦苦闘していると、あっという間に時間が経ってしまう。プリンター一つ使えるようになるのに一週間もかかってしまった(各部屋にプリンターがなく、廊下の共用のものに接続しなければならないが、それがうまくできなかった)。

 

 

しかも現在は講義をしているわけだから、時間割から学生名簿まですべてウェブ上にあるものを管理しなければならない。が、誰もそんなこと説明してくれない。学生に読むべき文献を与えるにもBlackboardというサイトにアップロードしなければならないし、学生の受講状況を確認するにもCampus Managementというサイトに行かなければならない。が、実はその存在を知ったのは一昨日のことである。

 

 

別に大学のみなさんが意地悪をしているわけではない。が、みんな忙しいし、そもそもいったん慣れてしまうとその存在が当たり前になってしまうのだろう。よそから来た人にはわからない、ということがわからなくなってしまう。助手さんに聞いても、IT関係に弱いらしく、「サポートスタッフに連絡しておくわ」と言ってくれるが、手取り足取り教えてくれるわけではない。当たり前だ。

 

 

が、ようやくこの数日、実に苦労の結果、コピー機も、スキャナーも使えるようになった。BlackboardもCampus Managementも、なんとか最低限の用がたせるようになった。これがとてもうれしい!資料を共用の機械でスキャンして、自分のPCに転送できるようになった時など、叫びたくなるくらいうれしかった(実はこの作業、日本の自分の勤務校でも結構苦手である)。

 

 

思えば、アメリカのコーネル大学にいる時、結局最後まで、その手のファシリティをうまく使いこなせなかったのを苦い記憶とともに思い出す。まあ、基本的にはvisiting scholarで、講義はほんの数回しかやらなかったので、何とかなったのだろう。しかし、今回はそうは行かない。何としても各種のツールを使いこなさないと、講義すら進められない。いやはや必死である。

 

 

やはり、大切なのは、当たり前だけど、人に聞くことである。わからなくて当たり前、すべて素直に人に聞き、教えてもらったら、感謝する。その繰り返ししかない。そうしてstep by stepで自分のできることが増えていく。どうもアメリカにいた時は、その努力を怠った気がしてならない。

 

 

自分にわからないこと、できないことを、人にお願いして教えてもらわないのは、単に人に聞く勇気がないためである。あるいは、人にお願いする労を惜しんでいるだけである。それは、遠慮でも奥ゆかしさでもない。そのことを改めて痛感する。

 

 

話が飛ぶようだが、日本のおじさんがしばしば傲慢に見えるのは、自分ができないことを人に聞いたり、素直にお願いできないことにしばしば由来するのではないか。できない不安を誤魔化すために、意味不明に偉そうな態度をとってしまうのではないか。そんな気がする。

 

 

その意味で、今回のドイツ滞在では、少しは素直に人にものを聞けるおじさんでいられている気がする(散々、周りの人に迷惑をかけているわけだが)。少なくても、アメリカの時よりは、だいぶ色々なものを使いこなせているのではないか。人間、遅々としてではあれ進歩していると思いたい。

 

 

 

買い物

こちらに来てから、我ながら感心するくらい禁欲的な生活をしている。大学とアパートを往復し、その道すがらスーパーによる以外、ジョギングを除いてほとんど外出していない。一度だけポツダム広場とブランデンブルグ門に行ったが、それ以外、ベルリンの街を観光したこともない。まあ、しばらくはしっかり勉強しようという意欲の現れである。いずれベルリンの各地を制覇したい。

 

 

が、今日は土曜日。午後になって、さすがに一度くらい外出しようという気になった(午前中に買い物とゴミ出し、ジョギングは終えてあった)。そう思うとちょっとウキウキしてくる。今いる場所はベルリン郊外の何もない地域かと思っていたのだが、すぐそばにシュティグリッツという、なんだか経済学を勉強したくなるような街があることがわかった。ちょっとした繁華街で、お店が並んでいる。f:id:Shigeki:20180421163749j:plain

ここの街を1時間くらい歩こうと思ったのだが、やはり感覚が狂っているのだろう。歩いてみると、結構広く、ちょっと見て回るだけで1時間が過ぎてしまう。電気量販店のSaturn(ザターンと読むのだろうか)に行って、スマホを物色したり(難しくてわからん。プリペイドSIMを買おうと思うのだけれど、今度にしよう)、本屋に行って小説など物色したり(読めるのか?)、スポーツ用品店に行って、夏用のランニングウェアを見たり(冬用をたくさん持って来たのだが、今日もベルリンは24度で小夏日和であった)。f:id:Shigeki:20180421164122j:plainユニクロもあるねえ。この企業のあれこれの評判はともかく、こんなベルリンのショッピングモールにまで進出しているのは、正直言って偉いと思う。結構人気もあるようだ。

 

 

いかんいかん、俺は勉強に生きるのだ、と思いつつ、結局2時間も過ごしてしまった。まだまだシャバの物欲が抜けきっていないらしい。反省しよう。

ドイツでの講義

今回ベルリンにはサバティカルで来ているわけではない。講義を週3回することが条件である。英語で良いのだから、ドイツ語でやるよりはマシだけど、それでもなかなか大変である。あいにく日本を出発するまでドタバタが続き、講義の準備どころではなかったので、すべてはぶっつけ本番である。ちゃんと読み上げ原稿を作ろうかと思ったが、結局パワーポイントでごまかすしかなかった。

 

 

学生の感じはとても良い。みんな真面目で努力家である(受講者の数は少ないけど。グッスン)。よく手を上げて質問するし、こちらの問題提起にも生き生きと反応してくれる。感じの良い学生さんたちである。

 

何より良いのは、英語であまりストレスを感じないこと。前にコーネル大学で講義をした時は大変だった。学生のほとんどは英語のネーティブである。怒涛のように英語で質問されると、正直圧倒される。それに対し、ドイツ人の学生は英語は上手だけれど、やはり外国語である。お互い、外国語としての英語をしゃべっていると、対等な気になる。国際語としての英語は、こんな感じでいいのではないか。

 

 

気に入ったのは、講義が終わると、学生さんがこぶしで机を叩くこと。終わりのシグナルらしいが、とても素敵である。お互い、「お疲れ様でした!」という気分になる。日本の学生さんもやってくれないかな。

 

ベルリン自由大学の学食

ベルリンに来て以来、昼食はいつも大学の学食である。日本にいる時も、なんとなく学食が好きでよく出かけるが、ここにいてはどうしても頼らざるをえない。ベルリン自由大学の学食はなかなか広くて快適。雰囲気も明るい。お惣菜からデザートまでけっこう充実している。料金の仕組みがどうもいまいち理解できていないのだけれど、それぞれのコーナーごとに料金が決まっていて(額は学生、教員、ゲストで違う。僕はゲスト扱いなので一番高い!)、従量制ではない様子。見ていると肉にしてもポテトにしても、みんなすごい量をよそっている。あんなに食べられるのかなあ。f:id:Shigeki:20180416125447j:plain

僕はまあおとなしく、こんなもので。これでも全部食べると、相当にお腹が張る。f:id:Shigeki:20180416130235j:plain

料理は各コーナーごとにいろいろ並んでいる。肉料理とお米、ポテト、パスタなどが組み合わさっている。ちなみにベジタリアンやハラルなどはまだ見つけられていない。あるのかなあ。f:id:Shigeki:20180416125551j:plain