家庭訪問

 先日、小学校5年生になった長男の家庭訪問があった。たまたまその日は家で仕事をしていたので、「美人で若い先生」と聞いて、「よしよし父親が対応しよう」とはりきったのだが、息子と妻に説得されて断念した。結局仕事を早退して家に帰ってきた妻が先生に会うことになり(そこまですることないのに、、、)、僕は上の部屋でこっそり話を聞くことになった(なんで、隠れていなければならないんだ!)。


 しかし、話はけっこう面白かった。長男はどういうわけか、「超」がつくほど積極的であり、授業中の先生の質問であれ、クラス委員の立候補であれ、はたまたリレーの選手選びであれ、ともかく手をあげるとのこと。「いつも元気だし、どこからそのエネルギーが出てくるのか感心します」と先生はいう。そういえば、去年の今頃、木から飛び降りて、腕を骨折したしね。ほんと、そういう無駄なエネルギーがどこから出てくるのやら。


 「忘れ物が多くて」と妻がいうと、「そうですねえ。たしかに。でも、次にやることにすっかり夢中になるっていうことだし、『後ろを振り返らない男』なのかもしれませんよ」。はは、いいセリフだ。今後しばらく、息子を「後ろを振り返らない男」と呼ぶことにしよう。


 妻がそれでも「とはねえ、『後ろを振り返らない男』にも、少しは振り返って欲しいんだけど。忘れ物だけでなくて、落とし物も多いんですよねえ」と嘆くと、先生は「まあ、周りの迷惑になっているわけでもないし」といい、「自立、自立というけど、何でも一人でできるわけではないし、人に頼るのも悪いこととは限らないと思いますよ。まわりの女の子が結構面倒みてくれているし」。


 普通「社会に出れば何でも自分でやらなければならないのだし、しっかりしないと」と言いそうなものだけど、この先生は逆をいう。「世の中、いろいろな人がいるのだし、それぞれが得意なことを伸ばして、足りない部分は補ってもらうのもありでしょう」。う〜ん、なるほど。いい考え方だ。


 何だか素敵な先生だ。とうとう「美人」かどうかは確認できなかったけど、すっかりファンになってしまった。